中古住宅はいつまで住める?築20年前後が狙い目ってほんと?

近年コロナ禍の影響もあり一戸建ての人気が高まっていますが、需要の増加に加え、不安定な世界情勢や円安、ウッドショックなども重なり、住宅価格は高騰しています。
こうした事情から、新築よりコストが安い中古住宅の購入を検討している方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、中古住宅は築何年まで住むことができるのでしょうか。また、中古住宅を選ぶ際はどのようなポイントをチェックすればよいのでしょうか。

今回は、中古物件の購入を考えている方に向けて、中古住宅は築何年まで住めるのか、中古住宅の中でも築20年前後が狙い目とされる理由、中古住宅を選ぶ際のポイント、購入する際の注意点などについて説明します。

中古住宅は築何年まで住めるのか

中古住宅は、一般的に築浅であるほど新築に近い価格で、築年数が経過しているほど安くなります。しかし、安いからといって築何十年も経った住宅を購入すると、数年も暮らさないうちに家が劣化して住めなくなる可能性があるため注意が必要です。
では、住宅は築何年まで住むことができるのでしょうか。日本の住宅の平均寿命や、構造による違いについて説明します。

日本の住宅の平均寿命

日本の住宅の平均寿命は約30年だそうです。
この数字をどのように捉えるかは人それぞれですが、日本人の平均寿命から考えると人生で3回は建て替えが必要という計算になるため、短いといえるかもしれません。同じ資料のデータでは、アメリカは約55年、イギリスは約77年となっているため、外国の住宅と比べても短命です。
ただし、この30年という数字は、この期間で建て替えられる住宅が多いというだけで、30年で使用不可能になるという意味ではありません。実際、日本に多い木造住宅の物理的な寿命は80年程度といわれています。

構造による違い

住宅の寿命は構造によっても異なります。木造住宅の寿命は、前述した通り約30~80年ですが、鉄筋コンクリート構造であれば約40~90年といわれています。
また、前述したイギリスやアメリカの住宅が日本の住宅より寿命が長い理由として、欧米ではレンガ造りの住宅が多いということもあります。レンガ造りは地震に弱いという理由から日本ではあまり普及しませんでしたが、レンガは耐久性に優れた素材であり、適切にメンテナンスを行えば100年以上持つといわれています。

状態によって異なる

木造住宅と鉄筋コンクリート住宅の寿命は、それぞれ約30~80年、約40~90年と、年数にかなり幅があることが分かります。
これは、設計や素材といった建物の個性による部分もありますが、所有者が家をどのように扱うかという点も大きく影響します。
丁寧に扱われ、傷んだ部分もすぐに修繕されてきた家は、年月を重ねても綺麗なままで長く住むことができるものです。逆に人が住まず換気も掃除もされないまま放置された家は、あっという間に傷んで廃墟となってしまいます。

メンテナンスやリフォーム次第

築年数が同じでも住宅それぞれによって現在の状態は異なるため、築年数だけで住宅の寿命が決まるわけではありません。
ただ、一つ言えるのは、その家の状態に合わせて適切なメンテナンスやリフォームを施せば、古い家でも十分に住むことができるということです。
家自体が使い物にならないほど傷んでいるように見えても、建て替えることなく、メンテナンスやリフォームによって居住可能な状態にできる可能性は十分にあります。
ただし、家の傷み具合によって必要となる工事の規模や費用は大きく変わるので、中古住宅を選ぶ際はどの程度の修繕が必要かを十分考慮した上で選ぶことが大切です。

築20年前後の中古住宅が狙い目とされる理由

中古住宅の中でも、築20年前後が狙い目といわれているのをご存じでしょうか。なぜ築10年でも築30年でもなく築20年が狙い目なのでしょうか。
中古住宅市場で築20年前後が狙い目とされる理由について説明します。

現行の耐震基準を満たしている

築20年前後が狙い目とされる理由の一つに耐震基準があります。
日本は言わずと知れた地震大国です。住宅を選ぶ際に耐震性が気にならない方はいないでしょう。
日本の中古住宅の多くは木造ですが、木造建築の耐震について2000年に以下のような建築基準法の見直しがありました。
・地盤調査の事実上の義務化
・柱・梁を固定する筋交いのサイズや金物の指定
・耐力壁のバランスの計算が必須
こうしたことから、現在築22年以降の住宅(2000年6月1日以降に建築確認申請が行われた住宅)については、現行の耐震基準を満たしていると考えられます。

築20年を過ぎると価格が下がる傾向

中古住宅の魅力の一つが、価格面です。価格は築年数と比例して下がっていきますが、特に築20年を超えるとさらに下がる傾向にあります。築20年を超えた住宅(木造)は価値がないとされ、ほぼ土地のみの価格となるからです。
築20年で価値がないとされるのは、住宅の耐用年数に要因があります。耐用年数とは、一般的に国が定めた固定資産としての価値を持つ期間のことをいいます。この法定耐用年数が木造住宅では22年とされているため、築20年以上経った木造住宅は価値がないと判断されることが多いのです。
土地代だけで住宅が手に入れられるのであれば、リノベーション費用を計算に入れても、一から住宅を建てるよりコストが抑えられることは間違いないでしょう。

住宅ローン控除を受けられる

住宅ローンを利用するのなら、住宅ローン控除を利用して節税したいところです。ただし、住宅ローン控除にはいくつかの要件があり、その中の一つに築年数要件というものがあります。
2021年までは、木造住宅は築20年、鉄筋コンクリートのマンションなどの耐火構造では25年以内、それ以前の中古住宅については耐震基準適合証明書の提出が必須となっていました。しかし、2022年の法改正によって、この要件は昭和57年(新耐震基準適合住宅)まで緩和されました。
この改正以前は、築20年で区切って中古住宅を探す方が多かったことから、築20年が狙い目とされていたようです。しかし、現在は築20年にこだわる必要はなくなり、中古住宅の選択の幅は広がったといえるでしょう。
ただそうはいっても、やはり前述した通り、昭和57年の新耐震基準適合住宅は耐震面で不安が残ります。2000年基準以前の住宅を選択する場合は、住宅性能評価書を確認しましょう。住宅性能評価書がない場合は耐震診断を受けることをおすすめします。

中古住宅を選ぶ際のポイント

中古住宅はどのようなポイントを基準に選べばよいのでしょうか。中古住宅を選ぶ際のポイントについて説明します。

土地

住宅の選択の中でも土地は重要といえます。特に中古住宅の場合は、価格のほとんどが土地代にあたるため、土地選びは非常に重要です。
土地選びの際は主に以下のような項目をチェックすることをおすすめします。
① 立地
駅からの距離、商業施設や公共施設、病院などからの距離といった利便性、今後の都市開発計画の有無、災害リスクの有無などを確認しましょう。立地は土地選びでも最も重要な項目といえます。
② 近隣の雰囲気
周辺の住人の年齢層や自治体の特徴、町全体やごみステーションの清潔さ、騒音や振動の有無、治安などを確認しましょう。ネットの情報だけではなく、実際に曜日や時間帯を変えて数回は足を運んで確認することをおすすめします。
③ 土地の条件
建ぺい率・容積率、整形地か不整形地かといった土地の形状、接道義務を果たしているか(再建築不可ではないか)などを確認しましょう。中古住宅の場合、住宅の方に目が行きがちですが、建て替えや売却の際に大きく影響する部分なので、このような土地の条件についてもしっかりチェックするようにしましょう。

築年数

築年数が経過している家は、見た目がきれいだったとしても、内部の建材が傷んでいる可能性があるため、購入前に住宅診断を受けることをおすすめします。
また、昭和57年以前に建てられた住宅の場合、住宅ローン控除が受けられないので注意が必要です。

間取りや広さ

間取りや広さは、家族構成やライフスタイルに合っているかという観点から考える必要があります。
部屋数は家族の人数に合っているか、所持している車の車種や台数に駐車スペースが合致しているか、キッチンやバスルームの位置やトイレの数に不都合はないかなどを確認しましょう。リフォームを前提としている場合でも、間取りの大規模な変更はコストがかかるので、そのまま使うことができる住宅が望ましいでしょう。

住宅の状態

住宅の状態は、リフォームやメンテナンスの履歴や住宅の環境や使用状況などによるため、築年数だけで判断することはできません。
設備や建材の劣化具合によって購入後のコストが大きく変わるので、中古住宅を購入する際は、住宅の状態について隅々まで正確に把握することが重要です。
しっかり確認したつもりでも、居住し始めてから不具合が見つかる可能性もあるため、中古住宅を購入する際は、既存住宅売買瑕疵保険の加入状況について確認しておくことをおすすめします。

予算

中古といっても住宅は高額な買い物です。物件探しの前に、自分が支払うことができる予算を見極めておく必要があります。
購入可能金額は基本的に、自己資金+借入金となります。住宅ローンは何かあった時でも対応できるよう、上限ぎりぎりではなく余裕を持って返済できる金額を設定しましょう。
中古住宅の場合、仲介手数料が必要になることから新築より諸経費は高くなるといわれています。そのため予算を組む際は、物件価格の110~115%を目安に見積もっておくようにしましょう。

中古住宅を購入する際の注意点

中古住宅を購入する際はどのような事に注意する必要があるのでしょうか。

資産価値のある土地を選ぶ

中古住宅の資産価値の9割は土地で決まるといわれています。安いからといって資産価値のない土地の住宅を購入してしまうと、将来売却したくなった時に困るだけでなく、相続が発生した時、コストがかかるだけのマイナス資産(負動産)となってしまうリスクがあります。
そのようなことがないよう、中古住宅を選ぶ際は資産価値が見込める土地を慎重に選ぶことをおすすめします。

住宅診断は行うべき

中古物件を購入する場合、プロによる住宅診断(ホームインスペクション)は必須といえます。
ホームインスペクションを行うことで、購入前に建物の劣化状況を知ることができるため、購入するか否かの判断をしやすくなります。購入前に費用が掛かることはデメリットのように思えるかもしれませんが、購入後に劣化に気付くという重大なリスクを回避できる点は大きなメリットといえます。

フルローンは難しい

新築の場合は、頭金なしのフルローンが組めるケースもありますが、中古住宅の場合、フルローンは難しい場合が多いです。新築に比べ中古住宅は資産価値が低いと判断されるからです。
築年数が比較的新しい場合や条件によってはフルローンが認められるケースもありますが、基本的に中古住宅では諸経費やリフォーム代などを含めたフルローンは難しいということを念頭に置いて資金計画を立てましょう。

資金計画は慎重に

住宅を購入する際には住宅の購入費だけを考えがちですが、前述した通りさまざまな諸経費や引っ越しにかかるコスト、家具や家電の購入費がかかります。中古住宅ではさらにリフォーム費用も必要になります。
それだけでなく、一戸建ての維持費は固定資産税や都市計画税といった税金、屋根や外壁の修繕費用を含めると年間30万~50万程かかるといわれています。このような費用やランニングコストもきちんと計算に入れた上で、慎重に資金計画を立てるようにしましょう。


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