木造施工の工法について

一軒家を購入・建築する際には、木造住宅・鉄骨住宅・鉄筋コンクリート造りの3種類の建築構造の中から選ばなければなりません。
日本では古くから木造が採用されており、戸建て住宅では主流の建築構造だといえます。
そのため、木造住宅を選ぶ方も多いですが、マイホームを建てるのであれば木造住宅のメリットとデメリットを理解した上で決めることが大切です。

今回は、木造住宅の特徴、メリットとデメリット、木造住宅に長く住むためのポイントなどを解説します。

木造住宅とは


まずは、木造住宅の特徴や日本における木造住宅の割合などについて説明します。

1.木造住宅の特徴


木造住宅とは、柱や梁など、建物の主要な建材に木材を使用している住宅のことをいいます。
木造住宅は鉄骨住宅に比べると調湿性や通気性に優れており、季節で湿度や温度が変わる日本の気候に適した材質だといわれています。間取りの自由度が高くてリフォームもしやすいことから、幅広い家族構成やライフスタイルに対応しやすいことも特徴の一つです。

2.日本では木造住宅が多い


日本では古くから木造建築が採用されていて、木造の建築技術には長い歴史があります。理由としては、日本には昔から木材が豊富なことや、神社仏閣の建立によって木造建築の技術が発展したことなどが挙げられます。
現在でも木造住宅は多く、総務省が公開している「平成30年住宅・土地統計調査」では、一戸建て住宅の92.5%が木造住宅でした。徐々に鉄骨住宅が増えてはいるものの、日本では今でも木造住宅が主流であることが分かります。

木造住宅のメリット


木造が日本の住宅の構造として主流になっているのは、多くのメリットがあるからです。
木造住宅の主なメリットを紹介します。

1.建築費用を抑えられる


木造住宅には、鉄骨住宅や鉄筋コンクリート造りの住宅よりも建築費用を抑えられるというメリットがあります。
鉄骨は耐火処理や防錆処理が必要になりますが、木材はこうした下処理を施す必要がありません。選ぶ木材の種類によっては高額になることもありますが、下処理が不要な分、鉄骨や鉄筋コンクリートよりも安くなる傾向にあります。
また、木造住宅は、鉄骨住宅や鉄筋コンクリート造りの住宅よりも構造体が軽いです。そのため、基礎工事にかかる工期が短くなり、工賃を含めた建築費用全体のコストも抑えられます。

2.調湿性・通気性に優れて過ごしやすい


木材には調湿効果があります。
湿気が多い時には空気中の湿気を吸収し、乾燥している時には湿気を放出します。
日本は四季によって湿度が変わるため、木材は日本の気候に適した材質だといえます。
室内の湿度が高まると結露やカビの原因になるため、鉄構造では家電や換気をして対応しなければなりません。一方、木造は自然の調湿効果もあり、鉄構造よりも通気性に優れています。そのため、結露から生じるカビやダニの発生を防ぐ効果が期待できます。

3.夏は涼しく、冬は暖かい


木造住宅に使用されるスギやブナ、ヒノキといった木材は、鉄やコンクリートよりも優れた断熱性があります。断熱性が高いということは室内の気温が保たれやすいということになります。季節によって寒暖差のある日本において、断熱性の高い木造は過ごしやすい住宅の構造だといえるでしょう。
また、木材は熱伝導率が鉄やコンクリートよりも低いです。外の気温の影響を受けにくく、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるので、冷暖房費の節約にもつながります。

4.耐火性に優れている


「木材は燃えやすい」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、木造住宅は耐火性に優れています。
木材が燃えやすいのは外側の部分になり、住宅に使用される木材には厚みがあります。
そのため、実際に火災が起きても表面だけが炭化するだけで内部まで燃えるには時間がかかり、避難する時間を確保できます。
特に住宅の骨組みとして使用している木材は強度が高く、火災が起きても倒壊せずに家の形を残しやすく、救助が行いやすいこともメリットといえます。

5.設計の自由度が高い


木造住宅には、土台や柱、梁などの構造体が法律の基準を満たしていれば、間取りや建物のデザインを自由に設計できるというメリットがあります。
木造住宅は、新築時だけではなく、リフォームや増改築の設計の自由度も高いです。なぜなら、木造住宅はシンプルな構造なので間取り変更が行いやすく、解体や改装する労力を抑えられるからです。将来、年齢やライフスタイルの変化に応じた家に変更していくこともできるため、長く住みやすいといえるでしょう。

6.落ち着いた空間を作りやすい


木材は、自然素材ならではの心地良さやぬくもりを感じられる材質です。
日本では古くから住宅に使用されているので、日本人にとっては馴染みが深く、親しみを感じる方も多いのではないでしょうか。
材質に木材を選ぶだけではなく、柱や床など目に見える場所にも木材を使用することで、より自然素材のぬくもりを感じる落ち着いた空間を実現しやすくなります。

木造住宅のデメリット


木造住宅には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
木造住宅の購入にあたり、メリットだけではなくデメリットについても把握しておくことが大切です。木造住宅のデメリットとして、以下のような点があります。

1.鉄骨住宅よりも耐用年数が短い


建物は材質ごとに、法定耐用年数が定められています。
鉄骨住宅の法定耐用年数は、軽量鉄骨プレハブ造が19年または27年、重量鉄骨造が34です。一方、木造住宅の法定耐用年数は22年で、鉄骨住宅よりも短いです。
法定耐用年数は資産価値を算出するための基準なので、実際の住宅の寿命は法定耐用年数通りというわけではありません。
ただし、木造住宅は天然素材を使用している分、品質を維持できる期間は短い傾向にあります。そのため、定期的な点検や早めの修繕を心がけ、メンテナンスをしっかり行うことが大切です。

2.鉄骨住宅よりも耐震性が劣る


木造住宅は鉄骨住宅よりも耐震性が低いという点もデメリットとして挙げられます。
しかし、耐震性が低いといっても、地震ですぐに崩壊してしまうわけではありません。建築基準法の新耐震基準では、材質や構造に関係なく震度6強~7に達する大規模地震でも倒壊・崩壊する恐れのない建造物にすることが義務づけられているため、新耐震基準に適合している木造住宅は十分な耐震性を備えているといえます。
耐震性が不安な場合は、耐震性に優れた木造住宅を扱っているハウスメーカーを選ぶとよいでしょう。

3.害虫対策が必要になる


木造住宅ならではのデメリットとして、害虫被害が挙げられます。
天然の木材を使用しているため、木材を主食とする害虫による浸食被害が発生することがあります。特にシロアリは木材に巣を作りながら何でも食べてしまうため、木造住宅を維持するためには対策が必要です。
シロアリは湿気の多い場所を好むため、湿気の多い床下から発生するケースが多いです。
新築の時には薬剤処理などによってシロアリ対策が行われますが、その後も定期的に害虫被害を確認するなどして対策を行いましょう。防蟻処理(シロアリ被害を防ぐための処理)された木材を使用することを検討してもよいでしょう。

4.防音性が低い


木材は音を通しやすいという特徴があり、木造住宅に使用する木材は軽くて音が伝わりやすい傾向にあります。そのため、防音性が低いことがデメリットとして挙げられます。
防音性を高めるためには、壁の中に断熱材を入れる加工をする、防音ガラスを使用するなどの方法があります。

5.職人や木材によって品質のばらつきがある


木造住宅は、施工会社や職人によって品質にばらつきが生じやすいことがデメリットといえます。
鉄骨や鉄筋コンクリートは工場で生産されているので品質や強度は一定ですが、木材は天然の素材なので品質や強度に差があります。また、木材の管理状態や加工方法によっても違いが生じることがあります。
木造住宅は施行会社や職人の技量によって大きな差が生じる可能性があるので、ハウスメーカー選びが重要です。

木造住宅の工法ごとのメリットや特徴


木造住宅の建築工法には、「木造軸組工法」と「2×4(ツーバイフォー)」の2種類があります。それぞれの建築工法ごとのメリットや特徴について説明します。

1.木造軸組工法(在来工法)


古くから日本の住宅建築に採用されている工法が「木造軸組工法」です。
木造軸組工法は柱と鍼を組みあわせて枠組みを作り、そこに壁や床を取り付けていきます。
壁ではなく軸で支える工法なので、間取りや広さへ多様に対応できるというメリットがあります。
また、古い歴史のある工法だからこそ施行できる業者数が多く、施工業者の選択肢の幅が広いこともメリットの一つです。

2.2×4(ツーバイフォー)工法


アメリカから伝わった工法で、新しい工法になります。
約2インチ×約4インチの構造材を主とし、床や壁などの面で建物を支えます。
フレーム状に組まれた枠組みに面材を打ちつけるため、木造軸組工法に比べると間取りの自由度は低くなります。
しかし、耐震性が高いことや、木材や設計がマニュアル化されていて短い期間で建築できるというメリットがあります。

木造住宅に長く住むためのポイント


木造住宅のメリット・デメリットを紹介しましたが、木造住宅を購入するのであれば長く住みたいと考えるのは当然のことです。
木造住宅に長く住むためのポイントを紹介します。

1.木造住宅を購入する際に確認しておきたいこと


木造住宅の購入の前に、まずは以下の3点をしっかり確認しましょう。

①耐震性
地震の多い日本では、住宅の耐震が気になるという方も多いでしょう。
日本では耐震基準が定期的に更新されており、新耐震基準は「震度6~7程度の揺れでも倒壊しないこと」という厳しい基準になっています。
また、2000年の建築基準法改正によって木造住宅の施工に、より厳しい基準が設けられたため、現在の基準で建てられた木造住宅は高い耐震性を持っているといえます。
耐震性には建物だけではなく地盤の強さも影響するため、建設前に地盤調査を行うことが大切です。
また、耐震性にこだわるのなら、耐震等級の高い施工会社に依頼するとよいでしょう。

②耐火性能
住宅の安全性を高めるためには、耐火性能の高さを確認することも大切です。耐火性能が高ければ、火災が発生しても人命や住宅内にある資産を守れる可能性が高くなります。
材質や加工についてハウスメーカーに相談し、耐火性能を高めることを検討してもよいでしょう。

③防音性
木材は防音性が低いため、屋外の音や屋内の生活音が聞こえやすく、ストレスに感じることもあるため、防音性についても確認しておくことが大切です。
壁や床に断熱材を使用すると防音性が高まるので、音が気になる方は検討してもよいでしょう。

2.長く住みやすいデザインを選ぶ


住宅選びで重要なポイントは、「長く住み続けられる」という点に着目することです。
年齢を重ねるごとに、家族の人数、健康状態、ライフスタイルなどが変化していきます。
そのため、加齢に伴い、若い頃に好んだデザインや間取りに不自由さを感じるケースもあります。
そのため、10年20年後を想像しながら長く住み続けやすいデザインや間取りの家を選ぶことをおすすめします。

3.定期的にメンテナンスを行う


木造住宅に長く住むためには、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
天然の木材を使用しているからこそ定期的にメンテナンスを行い、必要に応じて補強や修繕を行っていけば、住宅の寿命を伸ばすことができます。
メンテナンスは木材の種類や加工によって異なるため、住宅の購入時にメンテナンスについて確認しておきましょう。


※情報引用元 ポラス株式会社
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