地震に強い家づくり。耐震等級はどのくらい必要なの?

2000年より実施された「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」により、3段階の耐震等級が設定されました。

注文住宅を新築で建てるにあたり、どのくらいの耐震等級で建てたらいいのか迷っている方も多いでしょう。

今回は耐震等級とは何か、注文住宅での耐震等級はどのくらいが目安なのかなどを解説します。

これから注文住宅の建築を検討している方は参考にしてください。

耐震等級とは?

はじめに、耐震等級とは何かをわかりやすく解説します。

耐震等級は2000年(平成12年)に定められた、建物の強度を示す指標(住宅性能表示制度)です。

どのような基準で定められているのか、一般住宅にはどの程度の等級が必要なのか解説します。

耐震等級とは?

耐震等級とは、地震に対する建物の強度を示す指標の一種です。

2000年に施行された「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」に沿って定められました。

耐震等級は、建物の耐震強度にしたがって1~3まで3段階に定められています。

数値が大きくなるほど耐震強度は上がり、地震によって倒壊しにくい家となります。

耐震等級は、2000年以降に建てられたすべての建物に定められているため、家を買ったり建てたりする際の目安にもなるでしょう。

特に、100年以内に必ず発生すると考えられている南海トラフ地震で、大きな被害が予想される地域など、地震の危険度が高い地域では、耐震等級の高い家を建てれば、地震に備えられます。

新築の耐震等級の証明や確認方法は?どこに書いてある?

そもそも耐震等級は、住宅などを建てる際、希望する耐震性能を施主にわかりやすく伝えるために制定されたものです。

したがって、新築の場合に耐震等級を確認したければ、新築時に作成する書類「住宅性能評価書」を確認してください。

また、家を設計する際に建築士や施工業者から説明があるはずです。

なお、住宅性能評価書は、第三者評価機関が全国共通ルールのもと住宅性能を評価した書類であり、耐震等級も記さなければならない決まりです。

中古住宅の耐震等級を知りたい場合は不動産会社に問い合わせれば、住宅性能評価書を確認させてもらえます。

ちなみに、築年数と耐震等級は関係ありません。

築年数が浅くても耐震等級が低い物件もあれば、築年数が経っていても耐震等級が高い物件もあります。

耐震等級3で新築を建てたいなら……

大手建売会社では、耐震等級3が標準ですが、一般的な建売住宅では、耐震等級1が一般的です。

したがって、建売住宅の場合、特に耐震等級にふれていない場合は1だと考えましょう。

耐震等級3の建売住宅や建築条件付き土地の建物は、かなり珍しいです。

耐震等級3以上の建売住宅を希望する場合は、耐震強度の高さをウリにしている大手ハウスメーカーを検討しましょう。

注文住宅を建てる場合も、できるだけ大手のハウスメーカーに依頼したほうが確実です。

耐震等級の3つの区分

では、耐震等級はレベルによってどれほどの違いがあるのでしょうか?

ここでは、耐震等級の区分別強度を解説します。

地震に強い家を建てたい方は、参考にしてください。

耐震等級1

耐震等級1とは、建築基準法に定める基準を満たしているレベルです。

つまり、現在建っている家のほとんどは耐震等級1のレベルを満たしています。

耐震等級1は、震度5の地震では壊れないのですが、震度6強~7の地震では、柱や梁、壁の主要構造部が壊れてしまう可能性があります。

ただし、家が倒壊し、家のなかにいる方が押しつぶされる危険性は低いです。

つまり、震度6~7の地震が来ても倒壊はせず、命は助かるものの住宅は壊れてしまってそのまま住み続けるのは難しくなり、建て直す必要が生じるリスクがあります。

また、一度目の地震では耐えても、震度6~7の地震がもう一度続けて来ると倒壊するリスクもあるレベルでもあります。

耐震等級2

耐震等級2は、建築基準法の1.25倍の地震力に対し、倒壊しないレベルの耐震強度があります。

「長期優良住宅」として認定されるには、耐震等級2以上の強度が必要です。

なお、災害時の避難場所として指定される学校や病院・警察などの公共施設は、必ず耐震等級2以上の強度を持つことが定められています。

つまり、耐震等級2以上の建物は、震度6~7の揺れが続いても、2回以上耐えられるでしょう。

耐震等級2ならば、地震が起こっても緊急避難する必要がないケースも多いです。

耐震等級3

耐震等級3とは、建築基準法の1.5倍の地震力に対し、倒壊しないレベルを指します。

災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署などは、耐震等級3で建てられているものがほとんどです。

耐震等級3であれば、震度6~7の地震が複数回やってきても、修繕は必要ですが、建て直しまでは必要ないレベルの強さがあるでしょう。

昨今は、震度6弱地震が続けて複数回起こる災害も珍しくありません。

なお、耐震等級3相当とうたっている建売住宅もありますが、その場合は耐震等級3ではないので住宅を購入する場合は注意しましょう。

新築の耐震等級はどれくらい必要なのか?

最後に、これから家を建てる場合耐震等級はどのくらいにしたらいいのか、その目安を解説します。

耐震等級は高いほうがいいのですが、耐震強度が高いと費用もかかります。

予算との兼ね合いも考えて耐震等級を決めましょう。

耐震等級3はできれば欲しい

現在、新築住宅の耐震等級1の割合は約10%、耐震等級2は約6.6%、耐震等級3は約83%となっています。

前述したとおり耐震1だと、震度7地震が2回続くと倒壊する可能性もあるため、理想をいえば耐震等級3はあったほうが安心です。

しかし、大手の建売会社以外の建売住宅や建築条件付き土地の場合は、耐震等級3はついていないのが一般的です。

後付けで耐震工事もできますが、費用がかかるので予算と相談になります。

なお、大手ハウスメーカーでは2017年あたりから耐震3と住宅性能評価を標準で付けているケースが大半です。

耐震強度の高い新築を建てたい場合は大手住宅メーカーを検討するのがおすすめです。

耐震等級3にするデメリット

耐震等級を上げるためには、どうしても壁の割合が多くなります。

日本の伝統的な住宅は柱で屋根を支える構造なので、壁を多くするほど間取りの自由がなくなるでしょう。

また、壁や床に補強用の筋交いや金物、免振装置などを設置すれば、どうしても初期費用がかかります。

さらに、建築確認申請と住宅性能評価の技術基準申請を合わせておこなう必要があり、申請コストと審査期間がかかるのがデメリットです。

予算とデザインの兼ね合いもあるので建築メーカーとよく相談して設計しましょう。

例えば、壁の一部を全面窓にして、採光は良いまま、耐震強度を上げるのは無理が生じます。

地震に強い家にするには

地震に強い家にするには、耐震等級を上げるだけでなく地盤の強い土地に家を建てることも重要です。

昔から住宅地だった場所は基本的に地盤が固いのでおすすめです。

また、耐震・制振・免震構造など耐震等級を上げる以外にも地震に強い造りにすることが可能です。

自分の好きな間取りで家を建てるのですから、耐震等級3以上にこだわりすぎずに相談してみましょう。

なお、最初に予算を知らせておくと、どこまで耐震にかけられるかメーカー側も判断しやすくなります。


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