注文住宅を建てる際に重要となる数値の一つに断熱性能の等級があります。
断熱性能の等級が高い、優れた断熱性の家を建てれば光熱費も抑えられ、夏涼しく冬暖かい家になるでしょう。
しかし、断熱性能を高めるほど、建築にかかる費用も上がっていくので注意する必要があります。
今回は注文住宅を建てるうえで知っておきたい断熱性能の基準や等級を解説するのでぜひ参考にしてください。
断熱性能の等級とは?新設等級も解説
はじめに、断熱性能の等級とはどのようなものかを解説します。
かつて、日本の家は風通しの良さが重要視されてきました。
しかし昨今は、空調設備の発達によって断熱性が重要視されるように変わって来ています。
また、2022年4月に新設された新しい断熱性能の等級も解説するので参考にしてください。
断熱性能とは?断熱性の重要性
断熱性能とは、外気の暑さや冷気を室内に入れないよう遮断する性能のことです。
断熱性能が高い家ほど外気温からの影響を受けづらくなり、室内の温度を一定に保てます。
冷暖房の効きが良くなって光熱費が抑えられるのはもちろんのこと、ヒートショックのリスク軽減など、健康面でのメリットも期待できるでしょう。
近年の住宅はエアコンが必須設備なので、断熱性の高さは重要です。
また、冷暖房に使う電気やガスの量を抑えられればエコにもなるので、高断熱の住宅を建てたり断熱性能を高めるリフォームをしたりすると補助金を出す自治体もあります。
国も断熱性の高い住宅を「長期優良認定住宅」と定めており、一定の条件を満たせば補助金が受けられたり税制上の優遇を受けられたりします。
断熱性能の等級とは?
断熱性能の等級は、断熱性能に加えて省エネ性能も含まれているため、正式名称を「断熱等性能等級」と定めています。
断熱等性能等級は住宅の断熱性能のレベルを示す基準で、国土交通省の「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」で施行された「住宅性能表示制度」で規定された「省エネ性能」を表す等級です。
断熱性能の等級は1~7までの7段階で、レベル1が最低、レベル7が最高となっています。
等級はUA値(外皮平均熱貫流率)で定められており、各基準を満たす建材を使用しなければなりません。
レベルが高くなれば、断熱材だけでなくドアや窓といった外部と繋がる場所の建材も指定のものを使う必要があります。
注文住宅を建てる場合は、断熱性能の等級について一通りの知識を持っておきましょう。
2022年に3つの等級が新設
断熱等性能の等級は、元々は1980年に制定された「省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)」によって定めた基準が基本となっています。
その後、建築技術や建材の進歩などに伴い、何度か改正が重ねられました。
最も最近の改定は2022年4月におこなわれ、それまで4つだった等級に5が追加されて5つに、そして2022年10月に6・7が追加されて7段階となりました。
新たに等級が追加された理由
地球温暖化をはじめとする世界全体の環境悪化を食い止めるために、気候変動問題解決に向けて取り組む「2050年カーボンニュートラル実現」の目標があります。
カーボンニュートラルとは、全体として温室効果ガスの排出をゼロとするという意味です。
このため、日本では2022年にZEH基準よりもさらに厳しい等級が追加されました。
住宅の断熱性能をさらに上げることで排出される炭素量を減らして、さらなる脱炭素化を目指しています。
2030年までに達成すべき開発目標を定めたSDGsでも、環境にも配慮し、住宅のさらなる省エネ化が求められているという背景の影響もあります。
今後、新築住宅にはどのくらいの基準が必要?
現在、断熱性性能の等級は1~7まであります。
しかし、2025年以降すべての新築住宅に、断熱性能等級が4以上であることが義務付けられます。
そうなると、断熱性能1~3の家の価値は大きく下落するでしょう。
2024年度中に省エネリフォームの実施を検討中の方は、等級が4以上になるようにできると良いですね。
またさらに、2030年には等級4も廃止され、最低の等級が5になる予定です。
したがって、これから注文住宅を建築する場合は、断熱等級6以上になる設計にするのがおすすめです。
断熱性能の等級4以下で注文住宅を建てると、近い将来、築浅でも断熱性能の等級が低いことを理由に価値が下落する恐れがあります。
※情報引用元 ポラス株式会社
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