注文住宅とは・メリットとデメリット、費用相場や注意点などを解説

家を建てることは、一般的な方であれば一生にそう何度も経験することではありません。そのため、注文住宅の注文主、施主となる方のほとんどが、初めて施主を経験することになると思います。初めてであれば、知らないことやわからないことも多く、何から調べて良いか迷ってしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、初めて注文住宅を建てようと考えている方に向けて、注文住宅の種類、マンションや建売と比較した際のメリット・デメリット、費用相場、パートナー選びの注意点などについて解説します。

注文住宅とは

注文住宅とは、自分で間取りや仕様を決めて建てる戸建住宅のことです。
既に完成している建売や中古物件、マンションなどと異なり、自分たちで何でも自由に決めることが可能です。家を建て替える場合や、土地を購入して家を建てる場合は、注文住宅を選択することになります。

注文住宅は、建売やマンションなど既に完成している住宅を購入するのに比べ、手間も資金もかかる傾向にあります。新たに建設するため、当然のことながら時間もかかります。
それでも、自分の理想を詰め込んだ家を作ることができる注文住宅に、他の住まいにはない魅力を感じる方は多いのではないでしょうか。

注文住宅の種類

注文住宅には、セミオーダー式とフルオーダー式の二つの種類があります。
それぞれの特徴について説明します。

(1)フルオーダー式

フルオーダー式は、間取りや外観を含めたデザイン、設備など、全て施主が自由に決めることができる方法で、以下のような方に適しています。
一から十までこだわって決めたい方
特別な要望をお持ちの方
特殊な形状の土地に家を建てたい方

フルオーダー式のメリットは、とにかく自由が利くため、他にない自分たちだけの唯一無二の家を作ることができることです。
ただし、決めることが多いために打合せなどに時間が取られる、予算が高額になりがちというデメリットもあります。

(2)セミオーダー式

セミオーダー式は、あらかじめ用意された数種類の間取りや設備などのプランから選択する法です。大手のハウスメーカーなどの場合は、この方法が一般的です。
セミオーダー式は以下のような方に適しています。

  • 家のデザインや間取りに対するこだわりが少ない

  • 安定した品質の家を短い工期で建てたい

  • 建設しようと考えている土地の形状が一般的

セミオーダーとはいえ、大手であれば選べるプランの種類も多いため、十分オリジナリティの高い家を建てることが可能でしょう。
フルオーダー式より決めなければいけないことが少ないため、打合せの期間が短く済み、規格化されているために工期も短くて品質も安定している傾向にあります。
また、オリジナルであるためにイメージしにくいフルオーダー式とは異なり、モデルハウスや展示場で実物を見ることができる場合もあり、イメージしやすいというメリットもあります。

セミオーダー式のデメリットとしては、選択の自由度が低い点が挙げられます。規格外の要望をすることはほぼ不可能で、可能だとしても高額になる可能性が高いです。
また、極端に細長い・斜面になっているなど、土地の形状が規格に合わない場合は建てられない可能性があります。

注文住宅のメリットとデメリット

注文住宅の概要と種類について説明しましたが、注文住宅は他の住宅と比較してどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。注文住宅のメリットとデメリットについて説明します。

(1)注文住宅のメリット

①間取りやデザインを自由に決められる

注文住宅の最大のメリットは、建てる人の好みやこだわりに合わせた唯一無二の家を作れることでしょう。
家に対する希望は人それぞれ異なります。注文住宅であれば、壁の色、収納の広さ、水回りにまで徹底的にこだわって、理想の家を作り上げることができます。

②家の建材や構造にもこだわることが可能

耐震性能や断熱性能など、購入した家では実際に住むまでわからないことが多いです。実際、建売住宅では構造など見えない部分のコストを下げているというケースもあるようです。
しかし、自分で建てるのであれば、耐震性能、気密性、断熱性能についてもこだわることができます。つまり、長く安心して住める家を作ることができるのです。

③建てる工程を見ることが可能

家を建てる過程を見ることができるため、手抜き工事が行われていないか確認することが可能です。
工事現場を見ても、手抜き工事や構造に不備がないかを素人が判断するのは難しいのではないかと思われるかもしれませんが、定期的に現場を訪れて様子を見ることや職人さんたちとコミュニケーションを取ることは、不安の軽減につながります。現場で気になることがあれば、現場家督や営業担当に直接質問して、十分な説明を受けるとよいでしょう。

(2)注文住宅のデメリット

注文住宅のデメリットとしては、主に以下のようなことが挙げられます。

①費用が高額になりやすい

注文住宅は、同規模の他の住宅に比べて費用が高額になりやすいといわれています。
価格が固定されている戸建やマンションとは異なり、予算の見通しがつきにくいということもあります。最初に予算を提示していても、あれもこれもとこだわっていくうちに、あっという間に予算オーバーということになりかねません。
注文住宅の予算を決める際には、後で増えてしまう分を考慮し、最初は控えめな予算にしておくことをおすすめします。また、自分の中での優先順位を明確にし、こだわるところとこだわらなくて良いところを決め、メリハリをつけた予算配分をするとよいでしょう。

②決めることが多く時間がかかる

注文住宅を建てる際は、セミオーダー式を選択した場合でも決めなければいけないことが多いため、打ち合わせは一度や二度では済みません。仕様を決めるためには分厚いカタログを何冊も見ることになりますし、展示場を訪問することもあるでしょう。
建てる土地が決まっていない場合は、土地探しも並行して行わなければいけないため、さらに時間が取られます。
また、様々な決定ごとについて、家族での話し合いも不可欠です。やるべきことが多過ぎて、「目が回る程忙しい」という事態になりかねません。

注文住宅の相場

注文住宅を建てる際にはどのくらいの費用が掛かるのでしょうか。
注文住宅の費用な内訳と相場、平均的な費用について説明します。

(1)注文住宅の費用の内訳

注文住宅の費用の内訳は大きく分けて以下の3つがあります。

①土地費用

土地を取得する場合は、土地を取得するための費用がかかります。
土地を取得する際には、不動産会社に支払う仲介手数料や登記手数料も必要となります。

②建築費用

建築費用には、家を建てるための本体工事費用の他、建物以外の工事にかかる工事費用や設計料なども含まれます。
広告などで「1500万円の家!」などという謳い文句を見かけることがありますが、これは本体工事費用のみを提示していることが多いです。本体工事費用は総費用の75%~80%程度といわれているので、このような広告を鵜呑みにして見積りをとると当てが外れてしまうでしょう。

③その他

家を所有するには様々な手続きが必要となり、その都度費用が掛かります。
例えば、住宅ローンを組む場合の保証料、住宅が国の基準を満たしているかを検査する際の物件検査手数料、消費税や固定資産税・都市計画税などの税金、印紙代等、思っている以上に細々とした費用が必要となります。
こうした費用についても、予算を組む際にきちんと計算して計上しておく必要があります。

(2)相場はあってなきが如し

注文住宅を建てる際の費用は、坪数や希望する設備などによって大きく異なります。
隅々までこだわって贅を尽くせば青天井になりますが、コストを抑えるための工夫をすることも可能です。
最初に予算をしっかりと決めた上で、その範囲内で提案をしてくれるパートナーを探すことをおすすめします。

(3)平均的な費用

相場というのは難しいにしても、注文住宅の平均的な必要費用はどのくらいなのでしょうか。
住宅金融支援機構の住宅ローンフラット35利用者調査の2021年のデータによると、注文住宅の必要費用の平均は以下の通りとなっています。

  • 首都圏
    注文住宅[3,899万円]
    土地付注文住宅[5,133万円]

  • 近畿圏
    注文住宅[3,778万円]
    土地付注文住宅[4,658万円]

  • 東海圏
    注文住宅[3,650万円]
    土地付注文住宅[4,379万円]

  • 全国
    注文住宅[3,572万円]
    土地付注文住宅[4,455万円]

上記はあくまで平均ではありますが、目安になるのではないでしょうか。

首都圏はやはり土地代が高い傾向にありますが、注文住宅だけで見ると全国的にそれほど大きな価格差はないようです。

注文住宅のパートナーの選び方

注文住宅を建てる際、成功を大きく左右するのがパートナー選びです。
注文住宅のパートナーは、どのように選べば良いのでしょうか。

(1)注文住宅のパートナーの種類

注文住宅を建てる際のパートナーの選択肢は、ハウスメーカー工務店設計事務所の3つとなります。それぞれの特徴について説明します。

ハウスメーカー

ハウスメーカーは全国展開している大手が多く、自社による開発設備を持ち、建築資材や工程を規格化することで、家を工業製品のように大量生産可能にしているという特徴があります。
規格化しているので品質が安定しており、大手が多いため保障やアフターサービスが充実しているというメリットがありますが、一方で、自由度は低く、コストも高めというデメリットもあります。

工務店

工務店は実際に工事を行う会社です。ハウスメーカーとは異なり、決まった規格などはないため、間取りやデザイン、材質に至るまで自由に決めていくことができます。コストについても、ハウスメーカーより抑えられる傾向にあります。
デメリットとしては、職人の技術に差があること、施工方法やデザインなどに得意不得意があることが挙げられます。また、大手のハウスメーカーに比べて、保障やアフターサービスが不十分である可能性があります。

設計事務所

設計事務所は設計だけを行います。実際の工事は工務店が行い、設計事務所は監査として関わります。
設計事務所に依頼するメリットとしては、趣向を凝らした唯一無二の家が建てられるということです。デザイン力を求めるのであれば、設計事務所がおすすめです。
デメリットとしては、他と比べて設計費や監査代などのコストがかかることや、自分の要望に合った設計士を探すことが大変であることなどが挙げられます。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った家づくりのパートナーを選ぶようにしましょう

(2)情報を集めて見積りをとる

パートナーを決める際の情報の集め方としては、主に以下のような方法があります。

  • インターネットや雑誌を見る

  • 知人から紹介してもらう

  • 住宅展示場を訪問する

  • 新聞の折り込みチラシやDMを見る

最近は、まずインターネットやSNSで口コミなどを探してみる方が多いのではないでしょうか。実際に利用した方の口コミや写真などはとても参考になるからです。
知人からの紹介は、安心感がある一方、断りにくいというデメリットもあります。
住宅展示場は、実際の家の雰囲気を体験できることが最大のメリットでしょう。イメージがまだ固まっていないという方は、住宅展示場に足を運んでみると具体的にイメージしやすいかと思います。
このような方法で情報を集め、数社に絞った上で見積りや間取りの提案をお願いするとよいでしょう。

(3)選ぶポイント

見積りの価格や間取りの提案など、様々な比較ポイントがありますが、家づくりの成功を左右すると言われているのが担当者です。
ハウスメーカーであれば営業、設計事務所の場合は設計士など、窓口となる担当者がどのような人物であるかがとても重要です。
注文住宅は、家づくりのプロである担当者と施主が二人三脚で作り上げるものです。担当者には理解力や提案力、トラブルが起きた際の解決力が求められます。また、家が建つまでの長い期間、密に関わることになるので、信頼感や好感を持てる相手かという点も大切なポイントとなります。

6.注文住宅を建てる際の注意点

最後に、注文住宅を建てる際に特に注意すべき点について説明します。

(1)間取りはシミュレーションをする

考え抜いたつもりの間取りでも、実際に暮らしてみると生活しにくかったという失敗談は少なくありません。
失敗しないためにも間取りを考える際は、実際に住んだ時、どのように生活するかシミュレーションしてみるようにしましょう。置く予定の家具や家電を図面に書き込むと、実際に住んだ時の生活をイメージしやすく、コンセントの位置や数を決めるのにも役立ちます。

(2)予算は背伸びをしないこと

昨今の世界情勢や円安の影響もあり、住宅価格は年々右肩上がりの傾向にあります。当初考えていた予算では理想の家は建てられない、というケースもあるかもしれません。
しかし、そのような場合でも、住宅ローンの借入額を増やすことで対処しようとするのは、危険です。
住宅ローンの借入限度額と、実際に返済を続けることができる金額は異なります。限度額近くまで借り入れることはリスクがあるので避けましょう。

また、住宅ローン以外にも、家を建てた後の費用についても考えておかなければいけません。固定資産税や保険料もかかりますし、いずれはメンテナンスやリフォームが必要になる日も来るでしょう。こうした費用についても備えておく必要があります。
予算を決める際は、決して背伸びせずシビアに考えることが大切です。

まとめ

今回は、注文住宅の種類、メリット・デメリット、費用の相場、パートナーの選び方、注意点などについて説明しました。

注文住宅を建てようと考えている方の中には、「ワクワクするけれど、失敗しないか不安もある」という方も多いのではないでしょうか。
注文住宅は大変高額なので、失敗は絶対にしたくないものです。失敗を避けるためにも、家のイメージをしっかり定めた上で、パートナーを吟味して選ぶようにしましょう。
注文住宅を建てることを決めたものの、具体的なイメージが思い浮かばないという方は、まずは住宅展示場を訪れて、いろいろな家を見比べてみてはいかがでしょうか。実際の家を見ることでイメージが掴みやすくなるのでおすすめです。


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